よくある相談とそれに対する私なりの回答

【ご注意】
 ここに記されている回答は、医療関連の資格などを全く持たない素人の私がほんのわずかな経験とほんの数冊の文献を参考にしてまとめたものでしかありません。
 従って、このページのみならず、当サイト内の全ての掲載記事・コラム等を利用することにより生じたいかなる損失・損害等に関しては一切責任を負いかねます。
 あくまで、ご自身の責任と判断に基づいてご参考として戴くようよろしくお願い致します。




 まだ未完の部分も多いですが、完成するまでずっとオープンしないのも良くないと思い、できたところまでで公開して参ります。



3.転院に関すること



  1. 今の病院の対応には納得しかねます。が、何処へ転院しても同じではないかとあきらめの気持ちもあり、このまま我慢するべきか他を探し転院するべきか判断しかねています。

  2. 今の病院には満足しているのですが、いずれ近い内に(急性期を過ぎたら)転院をしなければならず、とても不安です。

  3. 自分で病院(転院先)を選定する場合に、病院の善し悪しの判断を助けるようなチェックポイントはありませんか。

  4. 転院先をどのように探せばよいかわかりません。また、転院の話をしたら主治医の気分を害さないかと心配です。転院の交渉はどのように進めればよいのでしょうか。

  5. 今の病院はどうも悪い部類の病院であるようです。しかしながら、そうと分かっていても、なかなか転院の決心がつきません。

  6. 転院先も見つかり、転院希望を今の病院に申請したいのですが、入院中の病院に対して、なんと話せば良いのか分かりません。




よくある相談とそれに対する私なりの回答

3-1.今の病院の対応には納得しかねます。が、何処へ転院しても同じではないかとあきらめの気持ちもあり、このまま我慢するべきか他を探し転院するべきか判断しかねています。

 私は、3つの悪い病院を経験しました。
(私自身が入院したのではなくて、親族が入院しました。)
私なりの病院のチェックポイントは、Q3-3の回答として記載しておりますので、ここでは割愛しますが、1つ言えると思うことは、「明らかに悪い病院は、まずそのまま入院していても途中から良い病院に変わることはない。」ということです。

 その状態を変えるためのなにか適切なアクションでも起こせれば可能かもしれませんが、ただクレームをあげたり、頻繁にお見舞いに行く等しても行かないよりはマシとはいえ、まず根本は変わらないでしょう。
(ちなみに、医師に対する接し方、プレッシャーのかけ方は、和田秀樹さんとテリー伊藤さんの本「病院のカラクリ、医者のホンネ」にちょっとしたアドバイス、アイデアが載っていました。)

 今の貴方の思い(心境)は、(1)病院に期待できる治療方法の知識が貴方に無いことと、
(2)一般的に期待できる医療サービスの標準レベルを貴方が把握されていないこと
から来るのではないでしょうか?

(1)については、やはりこのサイトで紹介しているような書籍から知識を得るしか無いと思います。
 きっと、自国の首相ですら救うことが出来なかったことがある日本の医療界に対して、失望されると思います。
 そういった実情を知ることにより、活動を止めることなく、より主体的にかつ積極的に身内の者にとってどうすることが最善かを考え、動いて欲しいと切に願います。

 (2)については、「百聞は一見に如かず」と言います。
とにかく評判の良さそうなところを見に行かれては如何でしょうか。
 そして、現在の病院と大差ないと思えば、当然転院先候補とする必要はありません。

 ただ、数院見学するうちに、たいだいのレベルが分かるようになってくると思います。
そうなるまで、納得できるまで、見学すれば、現在の迷いはなくなるのではと思います。
逆に言うなら、可能な限り、迷いが無くなるまで見学し回るべきと思います。

 そうすれば、現在入院中の病院のレベルが妥協出来る程度なのか、否かも判断出来るようになるかと思います。
 悪レベルであれば、もちろん転院を考えるべきです。
 そして、例え妥当なレベルであったとしても、見学した病院の中に圧倒的に良さそうな病院がもしもあったならば、急性期の最中であればそのままの方が無難だとは思いますが、もしもそうでないのならば、それら全てに転院の相談をされることをお薦めします。

 貴方が選ぶ程の病院であれば、恐らくベットの空きを待つ人が既に数人はいるものです。 期間にして数ヶ月待つと言われることも珍しくないはずです。
Q1-2の回答にも書きましたが、後々不要となればキャンセルすればよいだけのことです。(キャンセル料など取られないと思いますが、念のためそういったことも確認して下さい。)
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3-2.今の病院には満足しているのですが、いずれ近い内に(急性期を過ぎたら)転院をしなければならず、とても不安です。

 Q1-1の回答でも触れましたが、不安や心配は、将来の関心事に対する知識の不足や準備不足があればある程、重くのしかかってくるものだと私は思っています。だとすれば、不足している部分を補えばよいと思うのです。

 分からないことが無くなってくると、暗かった見通しも、そうでもないような気持ちになれるとともに自信もわいてくるのではないでしょうか。

 Q1-2の回答や次のQ3-3の回答を参考にして、まず、転院候補先を見て回ってみて下さい。
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3-3.自分で病院(転院先)を選定する場合に、病院の善し悪しの判断を助けるようなチェックポイントはありませんか。

 ここでは、私が悪いと判断した病院で気づいた点を挙げながら、病院のサービスレベルの高さを測る基準みたいなものを”見学の際のチェックポイント”として利用できるように、整理してみたいと思います。

 
1.看護、介護、リハビリスタッフがわきあいあいと笑顔で楽しそうに働いているか。そういった雰囲気が院内にあるか。  
スタッフ各自がそこでの仕事に喜びや満足を味わえていないような病院で、利用者が彼らから喜びや満足を提供して貰えるとは思えませんよね。特に、大声を張り上げているようなスタッフがいたらダメです。

 
2.病院内は静かで各患者もお互いに気遣い合い、マナーを守っているか。  
病院内を歩いた時、人の声やテレビ、ラジオの音が気になるようでは、ダメです。

 
3.看護師、介護士、理学・作業療法士等各スタッフの数は足りているか。  
相談員などに人数などを確認すると、たいてい「規定数以上」と返答されると思いますが、自分の目で足りているか判断して下さい。良い病院の中には、「患者一人あたり××が×人」等と返答してくれたところもありました。
 
4.病院内、特に病室は綺麗で清潔か。広さは十分か。  
 当たり前のことではありますが、悪いところは、仕事への注意が十分でないためか、汚いところが多いです。 私が見た病院には、仕切のためのカーテンがいつもまでの汚れたままのところがありました。
 言うまでもなく、トイレ、水回り施設が十分に手入れ、清掃されていない病院はダメです。但し、全く利用されていないで綺麗な場合もあります。綺麗なだけで判断せず、ちゃんと利用されていて綺麗に処置されているか確認して下さい。
 また、”寝たきりを促進する病院”では、患者が行動することを配慮しないため、1室にベットを置けるだけ置くのでしょう。非常に病室内が狭く感じました。
 また、スタッフの自覚を測る指針として、休憩時等に、勤務着(白衣等)のまま、或いは上履きを履き替えずに外出しているようなスタッフがいる病院もダメとのことです。院内感染などに対する認識が浅いか病院側の教育がなっていない(教育をしない、できない)証拠ともいえるようです。
 ちなみに、院内感染防止上の観点から病院内に観葉植物を置くことを禁止している国があるそうです。絵画が飾ってあるところも多いですが、額縁にホコリが溜まっているようだと問題だそうです。ベット等の間仕切り目的に設置されているカーテンのレールも天井に直付けされていれば良いのですが、天井から離れて(ぶら下げて)付けられているようだとそのレールの上にホコリが溜まりがちで良くないそうです。
 ここまでいうと恐らく全てを満たす程に衛生的なところは現在では無いと思われますが本当はそこまで気にかけておかないと院内感染は避けられないということのようです。

 
5.トイレ、水回り施設は、バリアフリー対応になっているか。  
 信じられない程に当たり前のことではありますが、私が見た病院の中には、トイレ、水回り施設が、バリアフリー対応になっていないところがありました。恐らく、リハビリは、リハビリ室でのものに限り、それ以外の時間にはただ寝ていて欲しいという意味だと思います。
 このようなスタンスの病院ではまず十分な成果は見込めませんし、かえって寝たきりに近づきかねませんので、避けましょう。

 
6.他の家族(面会者と患者)の会話や接し方に愛情が感じられるか。  
 共有スペースなどへ寄って、既に入院している人のご家族に話を聞いて下さい。
 良い病院には、患者のことをよく考えている善良な家族が集まるものです。或いは、患者のことをよく考えている善良な家族が選ぶのが良い病院です。
 他の家族(面会者と患者)の会話や接し方に愛情が感じられないようなら、その病院は要注意でしょう。

 
7.面会者の数は曜日を問わず多いか。  
 良い病院とは、家族が頻繁にお見舞いに行きたくなるような病院です。面会者の数が平日、休日を問わず少ないような病院は要注意でしょう。

 
8.1ヶ月の総入院費用(総負担額)はいくらか  
 見た目の金額以外に、やたらと承諾書を書かせたりするところは、入信してみたら保険外負担額が異様にかかる可能性があります。病院側にクレーム要素があると自認しているからこそ、利用者に承諾書の提出を求めていると言えるのではないでしょうか。



 ここには、医師の技量に関する事項はないですが、こればかりは、入院して受診してみないと分からないことですし、だいたい技量のある熱い心のある医師が上記を満たすようなところに長期間在職するとは思えないので、こういったところに平気でいられ続ける類の医師とはどの程度の人間なのか推測はできるとおもいます。
 私は病院の善し悪しの判断には、医師の評判もそうですが、それと同じくらいに看護、介護、リハビリスタッフの方に対する評判の方が重要だと思っています。
「悪貨は良貨を駆逐する」という法則が当てはまるのであれば、医師よりも看護師さんの方が職場を変えやすい(求人情報数からの推測ですが)状況を考えるとこの判断基準はそれなりにあっているのではと思っています。

 客観的に医師の技量というかモラルを測る指標として挙げるなら、次の通りです。
 
9.各患者に処方される薬量が多い。  
「入院患者に点滴針の跡が残っている人が多い。」という見た目でわかる指標を教えてくださった方もいらっしゃいました。



 以上のようなことを参考にして戴いて、今利用させている病院や今後の転院候補先の病院が果たして一般的サービスを提供しているか否か検討し、明らかに悪い部類に入っているようであれば、そちらは避けた方が無難かもしれません。
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3-4.転院先をどのように探せばよいかわかりません。また、転院の話をしたら主治医の気分を害さないかと心配です。転院の交渉はどのように進めればよいのでしょうか。

 地理的に好都合なところ、口コミでよく聞いているところから見当を付けるのは当然ですが、それ以外に挙げるなら以下の通りです。

     
  • 主治医以外に、現在入院している病院の医療相談室の方にも相談すること。
  • 転院先決定の前に候補先の病院を訪問見学すること。
     (候補先の病院の医療相談室宛てに問い合わせれば対応してもらえる筈です。)

 転院の相談は、まず、現在入院している病院の医療相談室の相談員(相談担当者は、大抵、ソーシャルワーカー有資格者。)と転院候補先の病院の医療相談室の相談員に相談されると良いでしょう。
 相談内容が即現場の主治医や看護スタッフ等へ漏れることは無いと思われますし、他の近隣病院の情報についても医師よりも詳しい可能性が高いと思うからです。
 但し、相談したく思えもしない人物が相談員職にあった場合には、もちろん違う方法を探した方が良いでしょう。


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3-5.今の病院はどうも悪い部類の病院であるようです。しかしながら、そうと分かっていても、なかなか転院の決心がつきません。

 もしも、貴方の近親者がQ3-3のチェックポイントで引っかかるような病院に入院されているなら、そして私が貴方の立場であったなら(実際に2000年の夏と2001年の夏にそのような立場になったのですが)、間違いなく直ちに転院先の手配に奔走します。
 更に病状によっては、同時に介護度の審査申請を行い、老人保健施設等も見学、入所申請を行っておくべきとも思います。(幸いに不要になってもキャンセルすれば良いだけの話です。)

 現在の病院に対する怒りのパワーをそのまま転院先の探索、手配に向けられることを祈ります。
余談ですが、私は、悪いと思われる病院に妥協して世話になり続ける人がいるからいつまでもそういった悪い病院が淘汰されることがないのではと思っています。
(もちろん、それでも良いとする家族が居たり、国の保護の仕方等、それ以上に大きな理由があることも承知していますが。)

 転院先の手配等といった各機関との調整には、我々のような世代(20〜40歳代)のものが自分から汗をかくことが必須だと私は思っています。
 他人(家族、主治医、医療介護関係の有資格者も含む)任せでは場合によっては、
また同じことを繰り返すことになりかねませんし、少しでも自分が持つイメージと違う点があるとその転院先を手配してくれた方を責めてしまったり、「自分があたっていれば・・・」といった後悔をすることも考えられます。

 転院に限らず、特にご本人の配偶者の方に多くをお任せになるのは、かなり負担が重いのではないでしょうか。
 仕事で培った折衝力をフル稼働して各機関との調整役は貴方に積極的にかって出て欲しいと切に思います。

 転院は病院の選定だけでなく時間との闘いもありますから、もちろん簡単には話は進みません。
が、私は「現在の病院に対する怒りのパワー」で貴方にも乗り切って欲しいと願います。

 ちなみに、病状が安定しているのなら、一度退院して自宅で面倒を看るという選択肢もなくはありません。私は、2度その方法を取りました。
 もちろん、簡単には行きませんでしたが、そのまま入院させ続けるよりはましだったからです。
転院先が空くまで(1ヶ月間位)の期間ならば、緊急体制を敷くことで対応できそうな要介護度であるのならそれも良いかもしれません。

 もしも貴方が「最終的には在宅復帰」を希望されているのなら、どういったレベルまで回復すれば、在宅での生活が可能なのか人員体制、環境などの諸条件を踏まえて明確にされるのが良いのではないでしょうか?
 介護保険をフルに活用すれば、既に在宅での療養も可能な場合もあるように思います。
医師が言うからなにがなんでも入院(転院)という考え方だけでなく、家族の側でどこまで”入院”というサービスを利用するかという主体性も持ってよいのではと思ったりします。
(退院には主治医の許可等も必要とは思いますが、急性期を過ぎているのであれば、適当な理由を付ければ応じてもらえるのではないでしょうか。→Q3-6

 序でにお話ししますと、短期間でも看護、介護を経験したお陰で、医療、介護の大変さも身にしみて分かり、次回入院した病院の対応が妥協できるレベルに達しているか否かの自分なりの判断基準みたいなものができたような気もします。

 しかし、私自身決断する時はいつもかなりの勇気が必要だったのも事実ですし、一時は後悔も絶望もしました。
なので、決して皆様に安易にお勧めできるような選択肢ではないということを強調させて戴きます。
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3-6.転院先も見つかり、転院希望を今の病院に申請したいのですが、入院中の病院に対して、なんと話せば良いのか分かりません。

 私はバカ正直に入院早々に転院を申し出、その後転院先の空きを待っていられないと判断するや、退院の意向を病院側に伝えてしまいました。
 言うまでもなく、この方法は、病状などを理由にして転院も退院も許可がもしも出なかったり、そこでの入院期間がもしも延びたりしていたら、嫌がらせ等を受けた可能性もあったかもしれず、交渉方法としては、極めて下手であったと反省しています。
 相談交渉した医療相談員(SW:ソーシャルワーカー)さんと主治医(経営者でない勤務医)が理解ある方でたまたま運が良かったと言えるでしょう。

 この件については、以前、当方の掲示板に書き込み戴いたエピソード【2003/04/14 てつさんの投稿】をヒントにした方法が有用ではと思っています。
 それは、何かそれらしい理由を作って、一時外泊を許可して貰い、病院から救出し、そのまま別の病院へ移るという方法です。
 例えば、「週末、親族が集まるので、一時外泊させて下さい。」等と言うのは如何でしょうか。
 当家の場合も、外泊からそのまま退院し、その後、他のリハビリ病院へ転院しましたので、振り返ってみれば同じパターンになりました。
 但し、Q3-5同様に、一時的といえども、在宅で対応することになるかもしれないし、当然、転院先にも事前に交渉が必要となるだけに慎重に取り組まないといけない点に変わりはありませんよね。

 ただ、素人目にも外泊許可が下りなさそうに思える状態(急性期)にある場合には、やはり、「知人が医師として勤めている病院があるので、・・・」とか「自宅(親類)の近くの病院を本人(又は家族)が望んでいるので、・・・」等といった理由付けをして転院依頼をしてみるしかないでしょうか。【どなたか、妙案ご教授下さい。】
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