よくある相談とそれに対する私なりの回答

【ご注意】
 ここに記されている回答は、医療関連の資格などを全く持たない素人の私がほんのわずかな経験とほんの数冊の文献を参考にしてまとめたものでしかありません。
 従って、このページのみならず、当サイト内の全ての掲載記事・コラム等を利用することにより生じたいかなる損失・損害等に関しては一切責任を負いかねます。
 あくまで、ご自身の責任と判断に基づいてご参考として戴くようよろしくお願い致します。




 まだ未完の部分も多いですが、完成するまでずっとオープンしないのも良くないと思い、できたところまでで公開して参ります。



4.看病、介護(被介護者とその家族とに関すること)



  1. 本人(被介護者)が頑固になったり、なかなか言うことを聞いてくれなくて困ります。

  2. 周囲は一生懸命に応援しているのに、本人(被介護者)が積極的にリハビリに取り組もうとしないので困っています。

  3. 本人は、自宅での療養を希望していますが、私には在宅介護はとても大変のように思えて、どうすべきか悩んでいます。




よくある相談とそれに対する私なりの回答

4-1.本人(被介護者)が頑固になったり、なかなか言うことを聞いてくれなくて困ります。

 精神科医でもカウンセラーでもない素人の私がうかつなことは言えませんし、 そういった患者自身の心情等への配慮について難しく思ったので、 他の方のサイトを拝見したり、自身でもサイトを立ち上げたりして情報交換を求めているという経緯が私にはあります。
 従って、大したお話もできませんが、「リハビリ医の妻が脳卒中になった時」の著者である長谷川幹氏のコメントが新聞に掲載されていましたので、引用させて戴くと・・・。
「患者の家族、医療関係者はしばしば、「頑張れ」という言葉で励ますが、本人は『今も頑張っているのに、これ以上、何をすればいいのか』と悲しくなることもある。患者の悩みや怒りなどを十分に聞いてあげることが重要です。」

【2002年1月18日読売新聞朝刊掲載「シリーズ脳卒中」】


とのことです。
わかっちゃいるけど、やっぱり難しいですよね。

 現在私は、入浴を手伝っていますが、当人にしてみたら、「自分の身体さえ洗いきれない」ことに情けなさを感じて悲しくなってしまうようで、強がったり、遠慮したりすることがしばしばありました。
 私は、この記事を参考に「今に自分でできるようになるだろうけど、それまでは、手伝わさせてもらうよ。」と言うようにしたら、上手く伝わったのか今ではすんなりと受け入れてもらえるようになっています。

 私は、「大変なのは今だけであること。そして、決して一人ではないこと。」
を伝えていきたいと思っています
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4-2.周囲は一生懸命に応援しているのに、本人(被介護者)が積極的にリハビリに取り組もうとしないので困っています。

 当家において、未だ完全に成功してもおりませんし、とても解決案として提示できる程のものではないと自認しておりますが、私も貴方と同じ気持ちをもっていた時期が”過去にあった”ので何かお役に立てばと思い僭越ながら書かせて戴きます。
 まず、ご当人の意識を変える前に貴方ご自身を初めとした周囲の方々の意識を変えられることを考えてみたら如何でしょうか?  もしかしたら、貴方がご当人に期待されている回復レベルが高すぎる可能性があるからです。

 恥ずかしながら、当家の場合は現在(2003年3月)、デイケア(週1回)、外来受診(4週に1回)、訪問リハ(隔週1回)、床屋(2ヶ月に1回)以外は、いかなる晴天、好天候であろうとも外出しようともしません。家でも動くのは、トイレ、食事等必要最小限であり、それ以外は、ソファに座ったきりでテレビ鑑賞と1時間位の昼寝をして過ごしております。入浴も本人曰く、「寒いから。」という理由から最近は1日置きになってます。
 でも、以前はもっと酷かったのです。週1回のデイケアすら「必要ない。」と言って拒んでいた程でした。本人と気長に話ながら、やっと現在の所まで来ているのです。

 自宅療養開始当初の私は、現在の貴方と同じく、”私の期待”通りにしてくれない当人に対して不満を持ち続けていました。
 が、Q4-1で紹介した新聞記事に教えられて以来、私自身の考え方を変えたことでイライラは消えました。
 リハビリを受ける側の幸子さん(奥様)は看護婦、ご主人の幹さんは脳卒中リハビリ医であるだけにとても自分には説得力がある記事でした。
 それからの私は、まず「本人は現状で精一杯生きており、そして満足している。」ということを大前提にして接するように注意しています。
 具体的には、今までは、「そんなに座ってばかりで、デイケアも行かないようだと、直ぐにまた歩けなくなっちゃうよ。週1回のデイケアくらい行かなきゃ駄目だよ!」と言っていたのを、「今の状態でもほぼ自立しているし、特に困ることもないけど、もう少し良くなれば、孫と出かけたり、旅行とかもできるようになるから、デイケアくらいは行っとけば?」と言うように変えていったのです。
 結果として、家族はある程度妥協した部分もありますが、本人は、少しずつですが許容的になってきて状態も向上しているので、良かったと思っています。
 もちろん、単なる言い回しだけではあまり意味は無いでしょう。頭の中に長谷川ご夫妻のコメントがあり、それに基づいて気長に説得していけばきっと変化があるのではと今でも私は思っています。

 しかしながら、変に特別扱いしたり、過度にやさしくすることもないとも思っています。
他人の嫌がるような仕草をしたり、それを注意しても辞めようとしない等と気を揉むケースもあると聞きますが、こういった性癖は発症前にはなかったことなのでしょうか?
 もしも、発症前に無かったことならば、それは、現状に対する何らかのストレスが起因しているとは考えられませんでしょうか?
 或いは、よくよく思い出してみたら発症前よりされていたことであったならば、それは、貴方が発症前以上にご当人に関心ないし期待をお持ちである証かと私には思えます。
 いずれにしてもご当人自身にしてみれば、いろいろな働きかけも単なる”過干渉”と受け取っていると考えられはしないでしょうか?
 私の場合は、「反抗期の時の自分に対して注意していた当時の大人達と同じことを、(心身的に混乱している)現在の大人に対して今の自分が注意をしている。」と思えたので、現在は、原則”普通”に接するように心がけています。
 そうすることで、自分自身へ向ける時間も自然と増えてゆき、いらいらすることもなくなって行ったのです。

 私が貴方にアドバイスさせて戴くのなら、まず、本人が本当に望んでいる今後の時間の過ごし方を探ってみて、「本人が本当はしたいのだけど、半ば諦めてしまっていると思われること」を家族が把握すると共に、家族がそれは無理でないことを説明し、そのためにはどうすればよいかを一緒に話し合って、周囲はご当人を応援、サポートしていくことをしっかり伝えるのが有効かと感じます。

 以上、当家の場合から思い当たることを偉そうに書かせて戴きました。
わかっちゃいるけど、やっぱり難しいですよね。
 当家は、近場でも良いから一族みんなで旅行へ行けることを当面の目標にしていますが、まだ随分と先になりそうです。 まあ、気長にやっていくことにしました。
 毎度長文となり、すみませんでした。ご参考になるところが少しでもございましたら、幸いです。
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4-3.本人は、自宅での療養を希望していますが、私には在宅介護はとても大変のように思えて、どうすべきか悩んでいます。


 貴方がご心配になられている通り、共倒れになってしまっては、かえってご当人に心配をかけてしまうなどマイナス要因が増えて元も子も無いと言えるでしょう。
 身内はもちろん、他人も含めて巻き込める者は巻き込むなりして、人力をかき集め、在宅介護できないか考えてみてください。
 というのが一般論です。上記は、まさにその通りで否定の余地はありません。
 が、当事者ないし既に経験がある方にとっては、そう簡単には済まされないことであるとお分かり戴けるのではないでしょうか。
 今の貴方の思い(心境)は、(1)在宅介護の知識が貴方に無いことと、 (2)内心では自宅復帰させてあげたいという思いが強いこと から来るのではないでしょうか?

 (1)については、実際に在宅介護をされている方やケアマネージャーさんに相談したり、信頼できる書籍などから”実”を伴った知識を吸収されることで対応できるのではと思います。
 近所の噂話や、興味本位に在宅介護をテーマに取り上げているような一部マスコミから耳に入ってくる情報は、”介護など全くの無関係”と思っている人達の戯れ言ですから、気にする必要は無いでしょう。

 (2)については、その思いを決断、行動へつなげるための勇気(貴方の背中を強く押してくれる力)があれば大丈夫だと思います。
 それには毎度繰り返しで恐縮ですが、次の書籍がお役に立つのではと思います。

 CD付き[新版]生きがいの本質
  --- いつまでも、いつでも一緒 ---
  飯田史彦著 (PHP研究所) ISBN 4-569-63655-1

 この本のP.161〜P.164に、船戸崇史氏([岐阜県養老郡養老町]船戸外科内科クリニック院長)による医学誌『癌と化学療法』に掲載された報告が原文で紹介されています。
 そこでは、「死生観、人生観、家族観を変える」ことにより、それまで家族の在宅での介護意欲がほぼ「なし」の状態であったものが、諸問題があったにも拘わらず、在宅介護を決心したという事例などが紹介されています。よろしければ、ご一読ください。  
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